発病前

がんの遺伝性について

がんは遺伝する? しない?

がんは遺伝子の変異によって起こる病気ですが、その原因の多くは、加齢や、タバコ、食生活といった生活習慣、ウイルス・細菌による感染などの環境要因であり、ほとんどのがんは次の世代へ遺伝することはありません。
しかし、生まれたときから特定の遺伝子に変異があって、がんを発症しやすい(遺伝的な)体質が原因で発症するがんもあります。そのようながんを「遺伝性腫瘍」(遺伝性のがん)と呼んでいます

特定のがんを発症しやすい体質を持っていたとしても、必ずしもそのがんを発症するわけでも、すべてのがんになりやすいわけでもありません。また、対処法がある場合もあります。遺伝性のがんの体質を持っているかについては、がんの診療時に実施されたがん遺伝子パネル検査で判明することもあります。

遺伝性のがん

私たちは、父親と母親からそれぞれ1つずつ遺伝子を受け継いでいます。遺伝性のがんの遺伝子を持つ親は、1/2の割合で変異のある遺伝子を子に移しますが、子は正常な遺伝子も受け継いでいるため、(正常な遺伝子が働いている場合は)がんを発症する可能性は低いと考えられています。しかし、何らかの要因により正常な遺伝子にも変異が起こると、がんを発症する可能性が高くなります。
遺伝性のがんの体質を持つ方では、がんが移るのではなく、特定のがんを発症しやすい体質が遺伝するということです。

遺伝性のがん(遺伝性腫瘍)

(公開:2022年8月)