1. カラダとココロの緩和ケア

カラダとココロの緩和ケア

カラダとココロの苦痛を和らげ、質の高い治療・療養生活を送っていただくための緩和ケア

がん患者さんは、がんと診断されたときから、身体的・心理的・社会的な苦痛を感じ、自責の念といったスピリチュアルな問題で悩むことも多いでしょう。そんな苦痛を和らげ、質の高い治療・療養生活を送っていただくためのケアが「緩和ケア」です。

緩和ケアとは、世界保健機関(WHO)(2020年)1)によると

とされています(日本語訳は厚生労働省資料参照2))。

緩和ケアは

  • 患者さんとそのご家族に、可能な限り質の高い治療・療養生活を送っていただけるよう、速やかに、適切なケアを提供するものです。
  • 終末期の患者さんだけではなく、がんと診断されたときから、治療・療養中も受けていただくのがよいとされています。
  • 医学的な側面に限らず、幅広い対応をしています。
  • 病気の経過にも良い影響を及ぼす可能性があるとされています。
  • どなたでも受けることができます。

緩和ケアは終末期の患者さんだけのものではありません

緩和ケアは「終末期(ターミナル)ケア」とは異なります(終末期ケアは緩和ケアの一部です)。緩和ケアは、終末期だけでなく、がんと診断されたときから、治療・療養中を通して受けていただくのがよいとされています。
がんと診断されたときから痛みがある方がいるかもしれない、気持ちが落ち込み、つらさを感じるかもしれない―それを和らげるためのケアが必要で、そのため緩和ケアを受けながら治療・療養していきましょうということです。
診断時、治療中(入院・外来治療)、在宅医療などのさまざまな場面において切れ目なく提供されます。

緩和ケアは患者さん・ご家族のさまざまな面をサポートします

患者さんの身体的な苦痛や心のつらさを和らげるため、くすりや治療法を含め、ケアのいろいろな方法がとられます(緩和ケアでの治療法は、がんそのものの治療ではなく、がんによる痛みやつらさを和らげるための治療法です)。また、患者さんはいろいろな局面で意思決定をしなければならないことがありますが、その意思決定のサポートも緩和ケアでは行われます。
緩和ケアでは、そのために、医師や看護師だけでなく、薬剤師、ソーシャルワーカーなどのさまざまな専門職の人々が関わって対応します。

緩和ケアは主治医や看護師がまず提供します

緩和ケアは、患者さんを担当している主治医や看護師がまず提供します。
主治医が病状について十分な説明を行い、患者さんご自身が納得がいく治療選択を行えるような支援を行うことも緩和ケアですし、苦痛を伴う痛みへの対応もまずは主治医が行ってくれるはずです。
また、病状を知ってショックを受けているときは、看護師に話を聴いてもらうことによって気持ちが整理されることもあるでしょう。

緩和ケアはどこでも受けることができます

主治医や看護師だけでは対応が難しい場合など、専門的緩和ケア(緩和ケアチーム、緩和ケア外来、在宅緩和ケア等)に相談したほうがよいことがあります。専門的緩和ケアを提供している部門は多岐にわたり、精神腫瘍科も気持ちのつらさを和らげるための専門的緩和ケアの一つです。

緩和ケアは、かかりつけの医療機関で受けられることがありますし、緩和ケアを専門とする緩和ケア病棟・ホスピスでも、緩和ケア外来でも、在宅でも受けられます。
さまざまな部門が提供しているため、ご自身に合った緩和ケアをみつけるため、まずはかかりつけの医療機関の窓口に相談してみるとよいかもしれません。がん診療連携拠点病院等に設置されている「がん相談支援センター」などでも相談に応じています。

緩和ケアに取り組んでいる組織がいくつかあります。国立がん研究センター「がん情報サービス」のウェブサイトなどでも、患者さんやご家族に向けたヒントが紹介されていますので、ご参照ください。

苦痛やつらさを感じていたら、がまんしないで、その苦痛やつらさを医療関係者、周りの人などに伝えましょう。
緩和ケアでは、患者さんやご家族の苦痛・つらさを和らげるための方法を一緒に考えていくことができます。緩和ケアの利用も検討してみましょう。

  1. World Health Organization「Palliative Care」(2021年2月19日閲覧)※外部サイトに移動します
  2. 厚生労働省「がん対策情報」「緩和ケア」(2021年2月19日閲覧)※外部サイトに移動します

監修:公益財団法人がん研究会有明病院 腫瘍精神科 部長
清水 研 先生

(公開:2021年3月)