1. 公的制度を知って利用しましょう

公的制度を知って利用しましょう

公的制度をよく知って、十分に利用しましょう

がんにかかわる経済的負担を軽減するために、患者さんの抱える問題・状況に応じて、さまざまな公的制度が用意されています。どのような種類があるかよく確認し、十分に利用しましょう。

医療費を補いたい 高額療養費制度・限度額適用認定証
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費控除
保険料の負担を軽減したい 国民年金保険料の免除・猶予制度
国民健康保険の一部負担金の減額・免除制度
医療費・生活費を借りたい 高額医療費貸付制度
生活福祉資金貸付制度
休職した 傷病手当金
離職・失業した 基本手当(雇用保険)
障害がある 障害年金
身体障害者手帳
年金の受給を繰り上げたい 老齢基礎年金の繰上げ受給
家族が介護休業した 介護休業給付金(雇用保険)

はじめに知っておきたいポイント

公的制度を利用するために重要なポイントは、「よく知る」「支給要件を満たす」「申請する」です。
どのような制度があって、どの制度が利用できるか「よく知る」ことが大切です。そして、制度を利用するためには「支給要件を満たす」必要があることも知っておいてください。

さらに、重要なことは、公的制度は基本的に、ご自身で「申請する」必要があることです。公的制度は申請しないと受けられないことがほとんどで、支給する側から(自動的に)“申請しましょう”とは知らせてはくれません。また、期限内に申請しないといけないものが多いため、あらかじめ知識として持っておき、すみやかに申請できるように準備しておくことが理想的です。

NPO法人「がんと暮らしを考える会」では、がん患者さんやご家族が利用できる「公的な支援制度」や「民間の支援サービス」を検索できるウェブサービス「がん制度ドック」を提供しています。ご自身の病状、ご希望などを入力するだけで、利用可能な制度・サービスが検索できます。

全国健康保険協会などのウェブサイトで、公的制度の種類とその支給要件をよく確認し、そして期限内に申請して、利用できるものはもれなく活用しましょう。
公的制度は定期的に見直されます。最新の情報を確認しましょう。

主な公的制度について

高額療養費制度と限度額適用認定証

「高額療養費制度」とは、「同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度」です1)。ご自身の1回分の窓口負担が限度額を超えない場合でも、複数の受診分や同じ世帯にいる方の受診分も1ヵ月単位で合算することができます。
高額療養費を受ける場合は、あらかじめ加入している健康保険で「限度額適用認定証」を交付してもらい、医療機関の窓口に提示しておきましょう。そうすることで、窓口での支払いを一定の金額にとどめておくことができます。
なお、「限度額適用認定証」をあらかじめ提示しない場合は、ひと月の窓口負担が自己負担限度額を超えても、いったんその額を支払う必要があります。
高額療養費制度と限度額適用認定証については、厚生労働省や全国健康保険協会、加入している健康保険などのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

医療保険の各制度(被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)の世帯に介護保険を受給している方がいる場合に、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担額を合算した金額が自己負担限度額を超えたときに支給される制度です。
高額医療・高額介護合算療養費制度については、厚生労働省や、加入している健康保険などのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

医療費控除

その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定額を超えたときは、所得控除を受けることができます。所得控除により、納付した所得税が還付され、翌年の住民税が割安になります。ご自身の分だけでなく、ご自身と生計を一にする配偶者その他の親族にかかわる医療費にも適用されます。
また、5年間にさかのぼって申告することができますし、医師の診療・治療費やくすり代に加え、通院のための交通費、入院の際の部屋代や食事代の費用なども対象となります。
適用の条件や、医療費の対象となるもの・ならないものなど、国税局のウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

国民年金保険料の免除・猶予制度

収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、保険料の免除や納付猶予の手続きをすることができます。窓口は、お住まいの市区町村の国民年金担当です。保険料の支払いに困ったときは、未納のままにせず、この手続きを行いましょう。未納のままにしてしまうと、年金を受けられなくなることがありますので気をつけましょう。
国民年金保険料の免除・猶予制度については、日本年金機構などのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

高額医療費貸付制度

高額療養費制度では、申請してから支給されるまでに3ヵ月程度かかります。そこで、当座の医療費の支払いに充てる資金として貸付を受けられる制度、「高額医療費貸付制度」が設けられています。返済には、高額療養費の給付金が充てられます。
高額医療費貸付制度については、全国健康保険協会や、加入している健康保険などのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

生活福祉資金貸付制度

社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」は、「低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉および社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度」です2)。あとで返済しなければならないため、本当に貸付を受ける必要があるか、よく検討しましょう。お住まいの市区町村の社会福祉協議会が窓口になっています。
生活福祉資金貸付制度については、社会福祉法人全国社会福祉協議会などのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

傷病手当金

「傷病手当金」は、「病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合」に支給されます3)。支給期間の考え方、傷病手当金が支払われない場合など、わからないことがあったら、加入している健康保険や勤務先などで相談しましょう。
傷病手当金については、厚生労働省や全国健康保険協会、加入している健康保険などのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

障害年金

「障害年金」は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。がんでは受け取ることができないと思っている方もいるようですが、要件を満たせば受け取ることができます。
日本年金機構などのウェブサイトで最新の情報を確認し、よくわからないときはお近くの年金事務所または街角の年金相談センターで相談しましょう。

老齢基礎年金の繰上げ受給

老齢基礎年金を受け取ることができるのは原則として65歳からですが、60~64歳でも繰上げて受け取ることができます。ただし、減額されるため、よく検討してからにしましょう。その他にも注意事項がありますので、事前に日本年金機構などのウェブサイトで最新の情報を確認し、よくわからないときはお近くの年金事務所または街角の年金相談センターでご相談ください。

介護休業給付金(雇用保険)

「介護休業給付金」は、雇用保険の被保険者がご家族を介護するために介護休業したときに受け取ることができる給付金です。
受給要件など、厚生労働省やハローワークなどのウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

公的制度にはいろいろ種類があり、支給要件など、理解するのは大変難しいです。利用できたはずの制度を利用できなかったということがないよう、よく知っておき、要件を満たしたら期限内に申請することがとても重要です。
それぞれの窓口で相談してみましょう。どこに(だれに)相談したらよいかわからないときは、がん診療連携拠点病院等に設置されている「がん相談支援センター」で相談に応じています。

  1. 全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」(2021年2月22日閲覧)※外部サイトに移動します
  2. 社会福祉法人全国社会福祉協議会「生活福祉資金について」(2021年2月22日閲覧)※外部サイトに移動します
  3. 全国健康保険協会「保険給付の種類」(2021年2月22日閲覧)※外部サイトに移動します

監修:近藤社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
 近藤 明美

(公開:2021年3月)