1. 納得して治療を受けるために

納得して治療を受けるために

納得して治療を受けるためには―最適な治療法がすべての患者さんにとって“最良”とは限りません

患者さんに納得して治療を受けていただくためには「シェアードディシジョンメイキング(協働的意思決定)」、すなわち、患者さんと医療関係者との間での十分な情報、考え、価値観などの共有と、良好なコミュニケーションが重要です。

医療関係者は患者さんに、可能な限り多くの科学的根拠(エビデンス)に基づいた最新の情報を提供し、個々の患者さんの病歴や検査結果に基づいて、患者さんにとって医学的に望ましいと考えられる方法を提示します。
一方、患者さんは医療関係者に、ご自身の人生にとってがんを患ったことやその治療がどのような意味を持つかなど、ご自身の意向、希望、価値観などを伝えます。

また、シェアードディシジョンメイキングの過程で、患者さんと医療関係者が十分にお互いの情報や考えなどを共有することで、患者さんと医療関係者は、最終的に患者さんにとって“最良”の選択がなされたと納得して治療に臨むことができるのではないでしょうか。

もし、十分に双方の情報や、考え、価値観などが共有されず、医療関係者の考えだけで治療が進んでしまったら、患者さんはどのように感じるでしょうか?
患者さんにとって納得できる治療に到達できなかったり、モヤモヤした気持ちで治療に臨んだ結果、治療後に後悔したり、医療関係者に対するネガティブな感情を持つ可能性もあります。

患者さんが納得して治療を前向きに受ける上で、患者さん自身も医療関係者とシェアードディシジョンメイキングを上手に進めるための技能(スキル)を身につけることが、「納得して治療を受ける」ことへの近道かもしれません。

監修:慶應義塾大学看護医療学部 准教授
 大坂 和可子 先生

(公開:2021年3月)