納得した治療を受けるため、治療・療養生活を良好に送るためには、患者さんと医療関係者との相互的なよりよい信頼関係・コミュニケーションが大切です。
信頼関係を築くためには良好なコミュニケーションが大切ですが、はじめから上手にコミュニケーションがとれないことがあるかもしれません。でも、日常的な人間関係と同様に、対話を重ねていくうちに、自然に信頼関係が築かれることでしょう。時間をかけて少しずつ、築けていけたらいいですね。
医療関係者は患者さんにとって医学的に望ましいと考えられる選択肢を提示し、患者さんは医療関係者にご自身の好み、希望、価値観などを伝えます。その上で、患者さんと医療関係者とが治療目標を設定・共有すること、そして病気に一緒に取り組んでいくこと―すなわち「目標の共有」と「協同」が大切です。
医療関係者とのよりよい関係づくりのために、話上手・聞き上手になりましょう。
主治医と十分なコミュニケーションがとれないと感じた場合は、看護師など他の医療関係者や、病院の「相談窓口」、がん診療連携拠点病院等に設置されている「がん相談支援センター」などで相談するのがよいでしょう。
問題点を整理して、質問の仕方を助言してくれたり、場合によっては面談に立ち会ってくれるかもしれません。
また、治療方針など重要な決定を行う前に、セカンドオピニオンとして主治医以外の医師の見解を求めておくこともよいかもしれません。
ご自身がどうしたいかを医療関係者に伝えるためには、自分にはどのような治療選択肢があるのか、そのメリット・デメリットを知っておく必要がありますし、これからの人生をどのように生きたいかなどについてきちんと考えておく必要があります。そして、医療関係者とよりよい信頼関係を築くため、医療関係者と患者さん・ご家族でそれぞれの情報をきちんと、温かく、共有し、理解を深めることが大切です。
また、医療関係者の話をよく聞くこと、そしてわからないこと、納得できないことなどがあったら、どんなことでも遠慮せず相談しましょう。
大変なことだと思いますが、そうすることで、納得して治療を受けること、さらにはご自分らしい人生を送ることにつながるでしょう。
監修:公益財団法人がん研究会有明病院 腫瘍精神科 部長
清水 研 先生
(公開:2021年3月)