「治療に積極的に参加する」ため、そして「納得して治療を受ける」ためには、ご自身の病気のことや検査法・治療法などを把握しておくことが大切です。そのような情報は医療関係者からも提供されますが、ご自身で調べてみるのもよいかもしれません。
いろいろな情報を得ておくことで、ご自身に起こっていることへの心配、知らないことによる漠然とした不安などが軽減することもあるでしょう。医療関係者の説明をもっとよく理解できるようになるかもしれませんね。
ご自身で情報を調べたいと思ったとき、インターネットやテレビ、雑誌などのメディアを利用することが多いでしょう。例えば、書店にはがんに関する書籍が並び、中にはベストセラーになった書籍もあります。しかし、“がんが消えた”、“がんが治った”といったように、科学的な根拠(エビデンス)を示すことなく、効果をうたっている書籍も多々あります。著名な先生による書籍であっても、エビデンスのレベルが高くなければ、信頼性は低いかもしれません。
インターネットの情報にも注意が必要です。
がん治療に関して、インターネット情報がどの程度信頼できるか調査した結果、がん専門医の評価では、がん関連の247サイトのうち、ガイドラインに基づいた信頼できるサイト(レベルA)は約10%(25サイト)に過ぎず、約39%(95サイト)は危険・有害なサイト(レベルC)であったことが報告されています1)。これは2016年に行われた調査であり、2018年には「医療広告ガイドライン」が改正されて、承認されていないくすりによる治療内容、虚偽のある広告・誇大な広告、患者さん等の主観に基づく治療等の内容・効果に関する体験談、誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等を使うことなどが禁止されましたので2)、多少改善がみられていると思われますが、依然として有害なサイトも多く、インターネットの情報には十分な注意が必要です。
Ogasawara R, et al. JMIR Cancer. 2018; 4: e10031より作図
インターネットなどのメディアには、信頼性の低い情報もあふれており、適切でない情報による健康被害も報告されています。このような情報過多の時代では、「信頼できる情報」を冷静に見極めることが大切です。
医療情報の見極め方を紹介しているサイトもご参照ください。
インターネット上で閲覧できる一般向けのがん関連診療ガイドラインや情報サイトをご紹介しましょう。
神⼾医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センターが運営する「がん情報サイト」には、米国国立がん研究所(NCI)が配信する世界最大の包括的ながん情報データベースPDQ®(Physician Data Query)の日本語版のほか、全米包括的がんネットワーク(NCCN)ガイドライン日本語版が掲載されており、患者さん向けの情報も含まれています。
国立がん研究センターの「がん情報サービス」や静岡県立静岡がんセンターの「患者支援・相談」のコーナーには、一般向けのがんに関するさまざまな情報が掲載されています。
監修:日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授
勝俣 範之 先生
(公開:2021年3月)