治療
治療を受けたときに生じる「好ましくないまたは意図しない出来事(症状・徴候・病気)」のことを「有害事象」「副作用」といいます。
副作用の種類や程度は治療の内容や患者さんによってさまざまです。副作用の症状が強くあらわれると治療の継続に影響を及ぼすことがあるため、発現を予防したり、症状を和らげるくすりを使用したりすることがあります。
がんの薬物療法の主な副作用
主な副作用 | 説明 |
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発熱 | くすりの副作用などによって起こることがあります。発熱は、がん自体によって、あるいは炎症や感染症によっても起こります。 |
疲労・だるさ | 治療の影響に加え、この病気や他の副作用などのいろいろな影響で起こることがあります。 |
吐き気・嘔吐 | 脳にある嘔吐反射の中枢(嘔吐中枢)が刺激を受けることで起こることがあります。 |
下痢 | 治療の影響で腸の粘膜が炎症を起こして、下痢になることがあります。 |
便秘 | くすりの作用によって腸の運動が低下すると便秘が起こることがあります。さらに、吐き気・嘔吐を抑えるために用いるくすり(制吐薬)や鎮痛薬によっても便秘が起こることがあります。 |
アレルギー反応 | くすりの投与直後に発疹やかゆみがあらわれたり、重度になると血圧低下や呼吸困難などが起こったりすることがあります。 |
感染症 | 栄養状態が悪くなったり、細菌やウイルスから体を守る働きのある好中球(白血球の一つ)が減少したりすることにより、抵抗力が弱くなって起こることがあります。 |
貧血 | 血液中で酸素を運ぶ働きのある赤血球が減少したり、消化管から出血したりすることで起こることがあります。 |
出血傾向 | 血を固める働きのある血小板が減少すると、血が止まりにくくなったり、出血しやすくなったりします。 |
口内炎 | 治療や感染症によって口の中の粘膜が障害されて起こることがあります。 |
手足のしびれ | 指先や足先の感覚が鈍くなったり、しびれたりすることがあります。 |
手足症候群 | 手足の皮膚が障害を受けて、手足に発赤やむくみが生じたり、手足の感覚が異常になってチクチク・ピリピリしたり、痛くなったり、爪が変形したりします。 |
脱毛 | 髪の毛の根元にある細胞は治療の影響を受けやすく、その結果一時的に毛が抜けてしまうことがあります。 |
肺障害・肺毒性 | 患者さんの状態やがんの種類、他のくすりを併用しているかどうかなどによって頻度は異なりますが、いろいろなくすりの使用に関連して、肺が障害される可能性があります。症状として、発熱、咳、息切れ、呼吸困難などがみられます。 |
腎障害・腎毒性 | 多くのくすり(およびその代謝物)は、主に腎臓から尿中に排泄されます。そのため、腎臓はくすりの影響を受けやすく、尿細管が直接障害を受けたり、腎臓への血流が減少したりして、腎臓に障害があらわれることがあります。 |
神経毒性 (末梢神経障害) |
くすりの影響によって、末梢の神経が障害されることがあります。 しびれ、チクチク感、痛みなど(感覚神経障害)や、手足の筋力の低下や反射の低下など(運動神経障害)があらわれたり、血圧や腸の運動などに障害が出て発汗異常、便秘など(自律神経障害)があらわれたりします。 |
心毒性 | くすりの中には、心臓に悪影響を及ぼすものがあります。その影響はくすりの種類などによって異なりますが、不整脈、高血圧、心不全、心筋障害などとなってあらわれます。 |
(公開:2022年8月)