治療前

薬物療法について

がんの薬物療法

薬物療法とは、くすりを用いてがん細胞の増殖や進行を抑えたり、症状を和らげたりする治療法のことです。がんの薬物療法には、現在、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「分子標的療法」「がん免疫療法」などがあります。
薬物療法は、手術や放射線療法ができない場合に行われたり、手術や放射線療法と組み合わせて行われたりします。

  • 手術や放射線療法については「治療前」>「3大治療法とは」のページをご参照ください。

化学療法

抗がん薬を用いて行う治療法です。抗がん薬は、がん細胞の増殖過程に働いて、がん細胞を直接攻撃します。抗がん薬の種類には、アルキル化薬、白金(プラチナ)製剤、代謝拮抗薬などがあります。

アルキル化薬

くすりの構造の中にアルキル基という部分を持っていて、このアルキル基が細胞の増殖に必要なDNAと強力に結合することによって細胞の分裂を止め、死滅させる作用を持っています。この作用のため、がん細胞の増殖が抑えられます。

白金(プラチナ)製剤

細胞の増殖に必要なDNAの二本鎖に白金が結合して橋をかけ、DNAが複製することを阻害したり、がん細胞が自ら死滅するのを誘導したりする作用を持っています。

代謝拮抗薬

細胞の増殖・分裂に必要な核酸(DNA、RNA)の材料となる物質とよく似た構造を持っていて、がん細胞が誤って取り込んでしまい、その結果核酸の合成が阻害されて、がん細胞の増殖が抑えられます。

内分泌療法薬(ホルモン療法薬)

細胞の成長・増殖を促す因子を増殖因子といいます。私たちの体にあるホルモンも増殖因子に分類されます。がん細胞の増殖にはいろいろな因子がかかわっており、乳がんには女性ホルモンが、前立腺がんには男性ホルモンが影響しているタイプ(ホルモン感受性)のものがあります。
特定のがんで、増殖因子であるホルモンの分泌や働きを抑えることによって、がん細胞の増殖を阻害する治療法を内分泌療法(ホルモン療法)といいます。

分子標的薬

がんの発生・増殖にかかわる特定の分子(タンパク質など)を標的として攻撃するくすりです。
「分子標的薬」については、「知る」>「新しい情報をチェックしましょう」のページをご参照ください。

がん免疫療法薬

私たちの体に備わっている免疫の力を利用してがんを治療することを「がん免疫療法」といいます。
「がん免疫療法」については、「知る」>「新しい情報をチェックしましょう」のページをご参照ください。

(公開:2022年8月)