レポート後編では、参加された方々のリアルな声をご紹介します。白熱した質疑応答の様子とともに、事後アンケートにて多数お寄せいただいたコメントも抜粋してお届けいたします。
質疑応答では、高橋都先生のファシリテーションにて、お申込み時にいただいた事前質問と当日リアルタイムで寄せられた質問とを織りまぜながら、議論を深めました。講演をされた清水研先生と品田雄市様に加え、NPO法人GISTERS 副理事長の櫻井公恵様に登壇いただきました。
「配偶者が38歳でGIST(消化管間質腫瘍)に罹患し、術前にできるだけ情報を集めて、祈りながら手術に臨んだことを思い出していました」と櫻井様。ご自身も卵巣がんの罹患経験があり、患者であり、家族であり、患者さんが集まれる場をつくる支援者でもあるという立場で、皆さんと一緒にセッションの時間を考えていきたい、と語られました。
高橋都先生
「私は愚痴を聞いてほしかったけど、誰に相談したらいいのかしら」というご質問や「早期がんと言われて、すぐ命に関わるわけではないけれどやはりつらい」というご意見もありました。このあたり、櫻井さんいかがでしょうか。
櫻井公恵様
私たち患者会で仲間が集まる時に、例えば検査の話もそうなんですけれども、「なんだろうね、何年経ってもこの検査前っていうのは気持ちが落ち着かないんだよね」と話し合ったり、検査をクリアしておめでとうと喜んだり、エールを送り合ったり。そういう日々の重なりの会話みたいなものって、もしかしてとっても大事なことなんだろうなと思いながら聞いていました。
高橋都先生
今、ご家族からいただいた投稿です。「患者本人は激しく落ち込んでしまっているけれど、家族としては何か良い思い出を残してほしいと思っている。家族はどう対応したらいいんでしょう」というご質問です。清水先生、いかがでしょう。
清水研先生
ご家族の気持ちも想像できるというか、良い思い出を一緒に作りたいと。ご本人がそう思えるかどうかはまた別なところで、なかなか難しいのですが、まずその方がなぜ落ち込んでいるのか、なぜ悲しいのかということを、一緒に理解するプロセスがやはり必要かなと。非常にご家族にとってもつらいことなんですが、そこを飛び越えて「明るくいこうよ」ってことはなかなか難しいのではないかなと。言葉で言うのは簡単で、非常に難しいことなのですが、でもまずは怖がらないで、ご本人の気持ちを一緒に分かち合うことを少しやっていかれると良いのかもしれませんね。
高橋都先生
事前質問で、これも「あるある」だなというのが届いています。医療者とコミュニケーションがうまくいっておらずそれを何とかしたい時、同じ病院の相談支援センターに相談していいんでしょうか、というご質問。同じ院内の話ですから、医療者に話が漏れて気まずくなったりしませんか、と心配されています。
品田雄市様
このあたりは講演でもお話ししたように、「がん相談10の原則」というのがございまして、主治医との関係性を維持強化するというのは非常に重要なポイントです。おそらく患者さんやご家族が相談支援センターに相談するよりも、櫻井さんたちのような患者会とかご家族の会で本音をお話しになる方が実は多いのではないかと思い、櫻井さんにも教えていただきたいのですが。相談支援センターに来られた患者さんの、主治医との悩みというのも無いとは言いません。その際は、守秘義務がございまして、私たち相談支援センターの中でお話ししたことは基本的にはその場から漏れないということが大原則なので、ご懸念いただいたような医療者との関係が気まずくなるっていうことは実はないんですね。
櫻井公恵様
もうこの先生とうまくいかないから転院したい、とそこまで思い詰めてしまう患者さんやご家族もいらっしゃいます。そういった時には、何が原因でそういう行き違いが起こってしまったのか、リアルにはなかなかわからないので、ひとまず相談支援センターに行こうって私は言っちゃうんです。本当に相談支援センターで解決してくれることも、そこで思い違いをほどいてくれることもあるんです。実際に解決していただかなきゃいけない場面にはしっかり力を貸してくださるので、病院から帰る前に相談支援センターに寄って相談してみませんか、と道案内をしています。
<上記のほか、討議したご質問>
ご視聴後のアンケートでは、99%の方が「今回のシンポジウムで得た情報が有益であった」と回答。
92%の方に「がん相談支援センターが相談できる場所であることを知る機会になった」と回答いただきました。
ご参加後の感想(アンケートより抜粋)
お申込み時のアンケート、当日質問、参加後アンケートにて、本当にたくさんの質問やコメントをお寄せいただきありがとうございました。今後のシンポジウムの内容に反映させていただきます。
次回の「これからのがん医療とケア」シンポジウムは、2023年2月頃開催予定です。